「ちきりん批判」が粗雑ではないか?という話

どう転んでも生産的、建設的になりそうな気がしないのでどうでも良いと言えばどうでも良いのだけれど、、、

 

「Aしかない」とか極論を言う人の役立たなさ - プロマネブログ

極論ベースで議論する人が少ない集団、極端な決断をしないリーダーが率いる集団の方がパフォーマンスが良いというデータなりロジックを示さないと反論にならない。賛同するのは、ちきりん嫌いの人だけ。それで良い?

 

吊られた男の投資ブログ (インデックス投資) : 大企業は成長が遅いというおかしなちきりん氏の説明

これは詭弁。確かに一見MECEでないように見える。が、"「大企業」はおそらく、最も成長スピードが遅い"と書いてあるから「中小企業の方が良い」と理解できる。内容がひどいというなら内容の批判をすべき。すり替え。

 

ちきりん氏を嫌いな人がいるのは分かるし、私自身どちらかというと嫌いだ。

一方、例えばインデックス投資ブロガーは、一般論として、論理的で善人という印象で好意を持っている。

 

ちきりん氏を批判したくなる気持ちは分かるし、PVも稼げるのかもしれないし、賛同者も多くなるのも分かるが、批判の内容がアンフェアではないか、と思った。

 

簡単に言うと、批判が重箱の隅をつつくような感じで、ちきりん氏の主張の本質部分に及んでいない。避けているようにさえ見る。

 

しかし、指摘自体は一部分の議論として妥当に見えるため、「そうだそうだ、一部部分が確かにおかしいぞ、全体もおかしいに違いない」というフォロワーを生んでいる。

 

指摘なんかを見ると、批判社は明らかに論理的思考の持ち主であって、それが「議論のすりかえ」であることは自分で分かっていはずだ。あえてそれをやっているのなら、それも一種のマーケティングでしょう。

 

私は、それは議論としてはアンフェアだと思うので、指摘する。

そして、論理的に未熟な批判は、批判対象を更なる進行の対象にしてしまうと考える。

 

 

ちきりん氏は、論理的な真偽を問うている、論理式で遊んでいる訳ではなくって、ビジネスであったり、社会であったりのあるべき姿を探求する姿勢が見える。一応。

本当に探求なの?他に意図があるんじゃないの?ロジカルシンキングに未熟なんじゃないの?とかの疑問、指摘はあり得るが、それは別の話であり、すり替えだ。

 

極論であろうと何であろうと、氏の意見は一面の真実を含んでいたり、経験からくるそれなりの根拠をともなっている。

そう見えないのだとしたら、いくらなんでもビジネス経験が乏しい、としか言いようがない。

 

 

少なくとも議論のたたき台にはなる。

批判は存分にすれば良いと思う。

ただし、それは本質的な部分でやるべきではないか。

 

つまり、

1.  氏と違う結論に至るロジックを示す

2.  氏の主張を覆すデータを示す

 

ということである。

と書いて、実は上記の分け方がMECEでないことに気づいた。

より正確に言うなら、1だけで良い。

で、そのロジックの前提となる事実として、データがあるならそれを示せば良いし(2)、データがないならないで、推測でも経験上でも良いがそれなりの根拠を示すべきである。

繰り返しになるが、ちきりん氏は、それをやっているはずである。

あんまりやれてないかもしれないが、少なくともそういう文章になっている。

 

ここで、「大企業に行くと成長が遅い」というのは、そんなに目くじら立てるような主張だろうか。

大企業の人事部の人がカチンと来た、というなら感情的には分かる。

 

繰り返しになるが、ちきりん氏の文章の粗雑さが気になって不快な気分になるのは理解出来る。

ロジカルシンカーは、論理的に気持ち悪さを覚えるものであり、それは脳内で実際に苦痛に感じられる、ということは良く分かる。

 

だからって、袈裟まで憎む必要はない。

論理的に分離して、是々非々で議論してもらいたい。

 

中小企業が出てこないぞ、という指摘はいくらなんでも揚げ足取りであって、「大企業が最も成長スピードが遅い」と断言しているのであるから「中小企業の方が大企業より成長スピードが早い」ということが導かれるのは、それこそ論理的に明らかである。

 

また、問題設定が曖昧である、とかいう批判は、ビジネスの世界という文脈の上では批判にならない。

マッチョは、自分で問題を「汲み取る」ものである。

 

ここで、本題に対する簡単な批判を試みる。

 

大企業は、中小企業より従業員が多いはずである。

従業員が多い方が分業の程度、専門性が高いはずである。

極端に言うと、独立の場合、全てを一人でこなさなければならない。

 

ということで、

大企業より中小企業、独立の場合の方が業務範囲が広い、責任範囲が広い、ということになる。

 

はば広い業務を一人でこなせるようになることを成長というのなら、大企業がもっとも成長が遅いというのは確かであろう。

 

一方で、専門的スキルという側面では大企業の方が成長できると考えられる。

(そんなことないけどね)

 

とかっていうのが本質部分への批判じゃないだろうか。

 

で、私の感覚としては、「ビジネス的にインパクトの大きい成果を出すための能力」の習得、成長という意味では大企業より中小企業、独立の方が成長スピードが早いのはその通りだと思う。

 

ただし、そのような環境で高速で成長できるのは、どこにいてもつぶれず成長の糧できるマッチョだ。これは、かなり限られた人数であって、成長より先につぶれてしまいことの方が多い、という気がする。

 

その点、大企業は人を簡単に潰さない。

その方が合理的だから。

中小であっても同じ理屈のはずだが、リソース上の制約からそうならないケースが多いのだろう。

 

ほとんどの場合は、大企業の方が「つぶれずに」成長できる確率が高いだろう、という風に思う。

 

エビデンスなんてないけど、これは少なくとも本題に沿った主張だ。