「XXの賃金が安すぎる」なんてことは「市場」ではあり得ない、とは思うものの
気になる論説というか「XXへの報酬が安すぎる」というような主張があって、特にアニメ業界なんかだと「手塚治虫のダンピングが元凶」論をいまだに見かける気がする。
特に詳しくはないけど、仮に、手塚治虫がダンピングやったのが事実で、ある時期不当に低く抑えられていたというようなデータが出てきたとして、それでも、いくらなんでも現在の状況について手塚治虫の影響はほとんどないだろうな、と思う。
私は自由市場経済の働きを過大評価しているのかも知れないけど、需要と供給の関係は、ときにアンバランスだろうとも長期的にはフェアなところでバランスするだろうと信じている。
多分、アニメ業界の報酬、賃金は、概ねフェアなのだと思う。
報酬が安いと感じるのであれば、これは、需要と供給の結果であって、やはり需要に対して供給過多なのだろう。
いや、実は、グローバル市場の中で日本のアニメ会社の経営がまずくて正当な利益を得られていないのが原因で、世界的に見て日本の業界が低賃金だ、というような話があるとすると、もしかするとそうかも知れない。
たまにかいま見る米ピクサー社内の様子なんかを見ると、そんな気もする。
経営がまずいと利益が上がらないのは、それはそれでフェアだ。
テレビ業界は、もっと面白いな、と思う。
電波は、もちろん有限だし、様々な規制で守られている業界だと言えるだろう。
昔程じゃないかもしれないが、それでもテレビ業界のトップは高給取りだ。
一方で、孫請け、ひ孫受けまで行くとやはり賃金が低いと聞く。
テレビは魅力があるだろうから、なり手が多いのだろうことは容易に想像がつく、恐らくその辺がフェアバリューなんだろうと思う。
フェアトレードコーヒーなんかも、ちょっと良く分からない。
農園主から農奴?への搾取とか人権侵害が行われているのだとしたら、それ自体がダメな話なのであって、コモディティのトレードそれ自体はフェアなのだろうから、「フェアトレード」は本質的な問題の解決にはなっていないのではないか。
と書いて、ちょっとぐぐったら、ずいぶん前から議論はあるのだねえ。
営利企業が「フェアトレード」をプロモーションに利用するのも自由な市場にあって大いにやれば良いじゃない、と私なんか思うんだけど、むしろ有害だ!と怒っている人までいるとは、、、
それでも、「真実に近い共通認識」に落ち着いてなさそうなところを見ると、もう、一種の宗教論争なんだろうな。
本題と関係ないけど、「一種の宗教」で終わらせたくなるけど、これ、本当はあるべき姿勢じゃない。
でも、なあ。
説得って面倒だよね。
事実と、原理を示し続けるくらいなのかなあ、それすらやるモチベーションがあんまりないなあ。