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映画 寄生獣 の感想

映画 寄生獣を見た。

前回、アニメの方の感想を書いて以来のブログ。

 

結論から言うと、「佳作」と思う。
ちょっと気になっている、くらいの人なら見るべき。見て損はないと言える。
完結編が楽しみだ。

 

寄生獣/ミギーリアルサイズぬいぐるみ

寄生獣/ミギーリアルサイズぬいぐるみ

 

 

以下、ネタバレを含む(でもできるだけ避けながら)感想。

 

良かったところ

ストーリーの密度

原作をそのまま映画の尺でやろうと思ったらとてもじゃないが不可能だ。
そこで、どうしてもストーリーを切り貼りすることになるのだが、うまく圧縮したものだと思う。
それでいて案外に破綻がない。これは大変に感心した。

漫画のペースでやったら冗長で間が空くところをテンポ良く見せている。
もちろん原作は日常的なシーンを丁寧に描くことによって非日常感が際立つ
のだけど、映画では日常がほとんど描かれずに主人公の人生は後戻りできない
異常状態に突っ込んでしまう。
これは映画としての満足度的には良い塩梅だと思った。

 

もちろん所々で突っ込もうと思えば突っ込める場面はあるが、展開が早いので気にならない。
もちろん突っ込むのが好きな人は心の中で突っ込みながら見ると良いだろう。
わざわざ金を払って観るのは快楽を得るためであって、どのような見方で快楽を得るのかは人それぞれだ。

 

設定の改変がいくつか見られたが、不自然なところはなく、良い改変が多かったように感じる。
例えば田宮良子が数学でなく化学教師となっている点などは、ストーリー上、分かりやすい。

 

安易なお涙頂戴がなかった

終盤、主人公がもっともつらい境遇に陥る場面がある。

これは普通に考えたら泣き所であって、安易な造りなら泣かせにかかるだろうし、まあ、そうするんだろうなと予想してたんだけど、これが全然そうなってなかった。
主人公自身も泣かないのだが、同じく見ているこちらも泣けない。泣きを強要されない。

あまり安易な造りをしていない所には好感が持てた。
(安易な演出がないということはない)

 

自然な演出

アニメの感想でも書いたが原作は不自然な描写が多い。
その点ではアニメより以上に自然だと感じた。

例えばおっぱい鷲づかみの表現はアニメと同じなのだけど、その後のムラノの対応は映画の方が自然だ。
これは、まあ、メディアの特性の違い、ターゲット層の違いだろう。
全体に、アニメより映画の方がより大人をターゲットにしていると思う。

 

剣道と弓道の件

これは良かった。
ミギー(とシンイチ)が部活動を見学して、接近戦と遠距離戦のやり方を学ぶシーン。
シンイチが美術部であることの紹介に繋がるとともに、後のシーンに効いてくる。

名シーンであるシンイチの狙撃シーンは、原作では「石のピッチング」が、映画では異なっている。
再現して欲しかった気もするが、あれはあれで良かった。
(ただし鉄パイプを切り取る描写は頂けない)

原作の島田はサッカーが上手く、これが女子からの高評価につながる。
いっそ東出昌大には剣道でもカッコ良いところを見せてもらって女子ウケしつつ、
これは接近戦でチャンバラやると分が悪いなという感じがっても良かったかもしれない、と思った。

 

キャストが良い

皆演技がうまい。
また、全員、原作と人物造形が違う。
原作の人物とは違う別人なのだけれども、それはそれとして成立している。

安易にアイドルを使ったりするという手もあったのだろうけど主演の染谷将太は確かにうまいね。
例えば藤原竜也の演技は例えば舞台で見れば良いのだろうけど映画で見ると違和感がすごい。
その点、染谷は映画で見て良い塩梅の誇張/自然さだと思った。

また、橋本愛はまったくムラノではないけれども。これは良いキャスティングだ。
演技もうまいし非常に高校生らしい。(年齢的に当然か)
ストーリー的には置物みたいなもんだけど十分に存在感がある。
今、一番好きな若手女優になったかもしれない。

 

阿部サダヲのミギーはアリ

前のブログで

いくらなんでも、阿部サダヲはないよねえ

と書いておいてなんだけれども。

アニメのミギーがたどたどしい喋り方なのに比べて、映画のミギーは早口で流暢だ。
しかし、理にかなっている。
感情の有無はおいておいて日本語に抑揚があるのは当然だし、ミギーは一晩で
日本語をマスターするのだから流暢で当然だ。
ただし、全く可愛くない。

早口のおじさん(映画のミギー)とたどたどしい幼い女の子(アニメのミギー)の落差が凄い。
私自身のミギーの声のイメージはその間にある。
どちらを評価するかはターゲットをどこに置くか、ということになるのだろう。

アニメ、映画とも成立はしているが理にかなっているのは映画の方だ。
また、映画のミギーの方が1個の人格としてしっかりとした感触がある。
まあ、そりゃそうだ。だって右手に阿部サダヲが宿っている、という状態だもん。
そんなの可愛いわけがない。

 

悪い?点

悪い、ととるかはともかく幾つか指摘しておく。

岩明均感が全くない

原作のテイストは全くない。全くの別物。
これはこれで良いと思う。
岩明均感が欲しい人はヒストリエを読んでください。

寄生生物の造形

割合に感情が豊かな原作とは違う生物。
映画だけ見た人は、そういうものだ、と思うことでしょう。

 

田宮良子の違和感

田宮良子は、影の主役なのだけれども全体的に違和感が大きい。

深津絵里は美人ではあるけど、さすがに、高齢出産だなあ、というのが気になったら、そこからさらに、あれくらいお腹が大きくなってきたら、もう少し胸が膨らんでも良いよなあ、とか色々と考えてしまった。

ちなみに自分がセックスしてみるならAじゃなくて東出昌大を選ぶよなあ、とか。
まあ、40代の高校教師と10代の高校生だとさすがにあれではあるけど。

「地球上の誰かがふと思った云々」のセリフも頂けない。

 

「母さんに助けられた」件

死してなお子を守る母、という話は昔からよくある話だけど、
あれは、さすがにちょっとついていけない。
別の演出があったのではないかと思う。
生前の母が偶然にも編んでくれていた鎖帷子が身を助けてくれた、とか。

 

その他

広川が田宮はさん付けなのに草野、後藤は呼び捨てにする
後藤がステーキを食べた後に吐き出すアレ

なんかが気になったかな、、、が、ほとんど最後のシーンだな、これ。
前半にも気になったシーンがあったがあんまり覚えてないかもしれない。
まあ、そこまで気になってしょうがない、というところはない。

 

まとめ

私はリアルタイムでコミック全巻を揃えて何度も読み直した者だが、これは全くの別物であり原作読者も十分楽しめるものであると思う。

アニメは続けて見る気にはなれなかったが、映画はお金を出しても続編を見る価値がありそうだと思った。(何度もリピートしようとまでは思わないが)

 

「非の打ち所のない作品」ということもないし「大衆受けする大ヒット」ということにもならないだろうけど「下手なアイドルが出てきてぶち壊し」ということもなく「金返せ」という駄作ではない。染谷、橋本といった若手の黒歴史でもなく代表作とまでは行かないまでも確実にステップアップには繋がっているといったところ。まあ、「佳作」でしょう。